先日、熊本県阿蘇に研修のために
行ってきました。僕の師匠でもある
日本人食肉マイスター小林さんが
日本マイスターアカデミーを創設され
第一回目の研修生として参加してきました。
ドイツには「もの造り」を支えている
手工業マイスター制度があります。もの造りの伝統を維持し
そのレベルを保持し後継者を育てるための制度です。
この小林さんは、57歳のとき35年間続けてきた精肉店や
レストランを廃業し、若いときからの夢を実現するため
ドイツ食肉マイスター資格取得をめざしドイツに渡ります。
ドイツ語が分からなく大変苦労されながら4年後、
さまざまな人との出会いに助けられながら2004年念願の
マイスター資格試験に合格されます。
その手工業組合に提出した
マイスター試験受験資格申請の理由書に、
「マイスター資格を取得できたら、日本の食肉・ハム・ソーセージ
製造に携わる人やドイツの手工業マイスターを目指す若い人たちに
私の技術と経験内容を伝えたい、そして日本とドイツの民間交流
に役立ちたい」と、その思いを記されたそうです。
その熱い想いが今年、実現への第一歩を踏み出しました。
小林さんが僕によく言うことがあります。
「森本さん僕がドイツに行って一番驚いたのは、
どこの肉屋さんにいってもこころよく教えてくれたことなんだよ。
マイスター制度の素晴らしいところは、次を育てることがもっとも
重要だと教えていることなんだよ。」
今回の研修は、小林さんがドイツで学んだバイリッシェ食肉学校の先生が、
わざわざ日本に来て教えていただく研修で、最新のドイツの技術などを見て体験してきました。
帰ってからとりあえず素直に作ってから、「森本らしく」なるように今、
いくつか試作をしています。もうしばらくお待ち下さい。
毎日のように報道される日本の食の問題は、次に受け継ぐものはありません。
しかし、日本では受け継いでいくことに情熱を燃やす人もいます。
僕もそんな一人になれたら。